銀座の暮らし方

銀座で暮らすアラサー会社員の日記

ミシュランガイドに何故カレー店が選ばれないのか考えてみた

ミシュランガイド2014東京版を眺めていて、今回から掲載されているビブグルマン(星は付かないが、5千円以下で特におすすめの食事を提供している店)は157店もあるのに、何故イタリアンとフレンチしか選ばれていないのだろう?と思ったので理由を考えてみた。

 

ミシュランの評価基準 

銀座の和食は高いところが多いから、手ごろで美味しい東京の和食店を知りたかったのに・・・。少し納得がいかない気持ちで読み返していると、ミシュランガイドには以下の記載があった。

「星の評価には、いくつかの明確な評価基準があります。素材の質、調理技術の高さ、味付けの完成度、独創性、コストパフォーマンス、そして常に安定した料理全体の一貫性です」

 

例えば僕は焼肉や刺身が大好きだが、残念ながら独創性は表現しにくい料理だろう。どうしても素材の質とコストパフォーマンスが主眼になってしまう。ミシュランの評価基準は、一定以上手の込んだ料理を求めている。

 

この基準で考えると、ミシュランで評価されやすいジャンルが見えてくる。

 

日本料理は手の込んだコース料理だし、鮨や天ぷら、焼き鳥は高級店なら大将が全てをコントロールする。また、うなぎや蕎麦も職人芸という付加価値を与えやすい。フレンチやイタリアンは元々が基準に沿った料理だから、自然と評価されるだろう。・・・だけど、これではフレンチとイタリアンだけが選ばれた説明にはならない。

 

ミシュランは旅行ガイド

今回、ミシュランガイド東京版で西洋と日本の料理以外で星を得たのは中華と韓国料理の店だけだ。東京にはタイ料理、インド料理、その他美味しい店はたくさんあるが、選ばれていない。

ミシュランガイドの発祥は、タイヤメーカーであるミシュランが車での旅をサポートする為に作ったガイドブックだ。つまり、人を旅に行かせることがミシュランガイドの見えざる評価基準だと言える。(これは三つ星の「そのために旅行する価値がある卓越した料理」という評価からも伺える)

 

ミシュランガイドを「フランス人から見た東京の旅行ガイド」、という観点から見てみよう。フランス人が東京に旅行すれば、中華や韓国料理は同じアジア料理の内なのかもしれない。たしかに僕もカメルーンでナイジェリア料理を食べたとしても、同じアフリカ料理位にしか思わないだろう。だけど、フランス人もさすがにTokyoでインド料理を食べるのは旅行の目的と合わないと感じるのだろう。

 

旅行に行くなら、やっぱりその土地の美味しいものを食べてみたい。広島ではお好み焼き店が星を取っていたが、やはりその土地にふさわしいと思われる料理が高評価を得ている。・・・だったら、フレンチやイタリアンはTokyoにふさわしいのだろうか・・?

 

ミシュランガイドの野望

海外旅行先で日本食を食べたくなることはないだろうか?

これがフランス人なら、ミシュランガイドを発行している都市であれば旅先の国でも自国の料理を安心して食べられるわけだ。そしてミシュランガイドの格付けを通して相手の国にフランス料理が浸透し、店も増えていく好循環を作り出せる。

フランスの文化大国たるゆえんを感じる。ミシュランから学ぶべき点は、自国の文化を世界へ広げていくには、相手国をしっかりと持ち上げつつ、自国の文化を紛れ込ませるのが得策だということだ。

 

この前僕はビブグルマンによって東京の食文化が豊かになると書いたが、実際に東京で豊かになる食文化はフランス料理とイタリア料理だろう。そして、結果としてミシュランガイドの権威はますます強くなっていくだろう。